クルマの「重み」の背景
現在の自動車の車両重量は、かつての常識を大きく超える水準に達しています。この傾向は、重いバッテリーを搭載するBEV(バッテリー電気自動車)において顕著ですが、内燃機関(ICE)搭載車両においても同様の現象が見られます。
主な要因としては、衝突安全基準の厳格化に伴うボディ構造の強化が挙げられますが、それだけではありません。快適装備の充実、先進運転支援システム(ADAS)の進化、コネクテッド技術関連部品の搭載など、従来は存在しなかった多くの部品が追加されたことも、重量増加の大きな理由です。

本特集では、ボディサイズの拡大、パワートレイン出力の向上、安全対策の充実、そして利便性と快適性を追求した装備の増加といった、多岐にわたる要因が車両重量にどのように影響を与えたのかを、時計の針を戻しながら多角的に検証します。フォルクスワーゲン・ゴルフの歴代モデルの重量分布を細かく比較することで、単なる衝突安全対策だけではない、重量増加の複雑な要因を詳細に解説しています。

軽量化への挑戦:素材と成形技術の進化
重量増加という現代自動車の課題に対し、各メーカーやサプライヤーは革新的な技術で挑んでいます。材料置換による重量低減は効果的ですが、高コストという課題も存在します。そこで、本誌では「軽いクルマを作る」ための新しい技術に焦点を当てています。
神戸製鋼所は、スチールとアルミの両方を手掛ける世界でも稀有なサプライヤーとして、これら二つの部材を自動車に用いる際のポイントや、近年のOEMからの要望について解説しています。特に、アルミ製サイドアウターパネルや冷間成形ドアリングなど、高成形性素材と先進的な成形技術を組み合わせることで、コストとデザインの自由度を両立させる挑戦が紹介されています。強靭な骨格を「熱間」で造るGestampの熱間成形技術や、提灯を畳むように潰すユニプレスのグラデーション軟化技術なども、重量増加を抑えるための具体的な技術として深く掘り下げられています。

環境技術とモビリティの未来
自動車業界は、カーボンニュートラル社会の実現に向けた技術革新にも力を入れています。
マツダは、スーパー耐久ST-Qクラスにおいて、市販車をベースとした開発車両で独自の技術を鍛え続けています。今号から始まる短期連載では、排ガス中のCO2を走行しながら回収するという画期的な試みが紹介されます。これは、カーボンネガティブへの挑戦として、レースの現場で技術を実証するマツダの真摯な姿勢を示しています。
また、今年3月に開催された「スマートエネルギーweek【春】」のレポートも掲載されています。水素を利用する燃料電池やバッテリーのサプライヤーが多数出展し、自動車やモビリティに搭載される次世代技術が紹介されました。トヨタグループの水素社会実現に向けた取り組みなど、エネルギーの可能性と未来への展望が描かれています。

誌面を彩る多様なテーマ
本誌では、上記の特集以外にも、自動車技術の最前線を伝える多彩な記事が満載です。例えば、「エンジン開発が活況 シェフラーのパワトレ部門トップが来日」や「バーチャルで活躍するeスポーツ選手が実車走行 マツダがリアルサーキット体験会を実施」といったmf eyeのコーナー、さらに「基礎から見直すパワー半導体の実装と動作 SiCの先も見えてきた進化の舞台裏」や「ソフトウェアとハードウェアを分離した先にあるもの BOSCHが開発する『ビークルモーションマネジメント』とは」などのSpecial Reportも注目です。タイヤの荷重対策や廃車の素材をきめ細かく分類する精緻解体など、多角的な視点から自動車技術を深掘りします。
『MOTOR FAN illustrated Vol.235』詳細
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タイトル: モーターファン別冊 モーターファン・イラストレーテッド vol.235 ~クルマはどうして重くなるのか?~
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発売日: 2026年4月15日
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定価: 2,100円(本体価格:1,909円)
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JANコード: 9784779654268
関連情報
三栄では、過去の貴重な自動車・バイク関連書籍を復刻する「復刻堂」シリーズも展開しています。
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復刻堂 ~ニューモデル速報: https://sanei-web-shop.jp/products/list.php?category_id=668
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復刻堂 ~ニューモデル速報 インポートシリーズ: https://sanei-web-shop.jp/products/list.php?category_id=680
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その他、三栄の公式ウェブサイトもご覧ください。
https://san-ei-corp.co.jp/
https://motor-fan.jp/

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