補聴器の効果測定を可能にする移動車両「ほちょうきカー」が開発され、実証実験へ

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音の芸術を届ける移動空間「ほちょうきカー」が誕生

補聴器フォーラム東海実行委員会、MONET Technologies株式会社、損害保険ジャパン株式会社、株式会社ATグループの4者が協働し、補聴器の効果測定を可能にする革新的な移動車両「ほちょうきカー」を開発しました。この車両は、適切な音場環境での補聴器フィッティングを実現し、2026年度に実証実験を開始してサービスの実用化を目指します。

ほちょうきカー外観

高度な技術が織りなす静謐な測定空間

「ほちょうきカー」は、トヨタ自動車株式会社の「ハイエース」を基盤とし、高度な防音・音響設計が施されています。これにより、補聴器の効果測定に不可欠な、音の反響を極限まで抑えた静謐な環境が車内に創出されています。この移動可能な測定室は、山間部や離島の医療施設、介護施設、さらには患者の自宅付近まで、車両が走行できるあらゆる場所へ出向くことが可能です。これにより、これまで地理的な制約から十分なサービスを受けられなかった人々にも、精密な補聴器フィッティングの機会が拓かれるでしょう。

難聴が奪う音の世界と、補聴器が繋ぐ認知の風景

高齢者の難聴は、周囲の音情報へのアクセスを制限し、交通事故のリスクを高める一因となります。また、2024年のLancet認知症予防・介入・ケアに関する国際委員会のレポートでは、難聴が修正可能な最大の認知症リスク要因であると評価され、補聴器の使用が認知機能維持に有効であることが明らかになっています。
(出典:愛知医科大学 耳鼻咽喉科 特任教授 内田 育恵氏の論文「補聴器と認知機能低下のエビデンス」耳喉頭頸97(4).332-335.2025)

しかし、補聴器を最大限に活用し、その恩恵を享受するためには、個々の聴力に合わせた適切なフィッティングが欠かせません。残念ながら、このフィッティングに必須となる音場検査環境を備えた耳鼻咽喉科クリニックや補聴器販売店は、全国的に見ると必ずしも充実しているとは言えない現状があります。

「ほちょうきカー」が描く、未来の医療MaaS

こうした課題に対し、4者は言語聴覚士や認定補聴器技能者が「ほちょうきカー」を運用する体制を構築します。これにより、介護施設や患者の自宅付近へ車両が訪問し、車内で正確な聴力測定、補聴器の効果測定、そして適切なフィッティングサービスが提供されます。さらに、医療機関にいる医師とオンラインで接続することで、遠隔診療も可能となり、地域医療の新たな形を提示します。

この取り組みは、補聴器を必要とする難聴者の利用満足度を高めるだけでなく、難聴が引き起こす認知症リスクの低減にも貢献することを目指しています。

実証実験から実用化へ、広がる連携の輪

サービスの実用化に向けて、2026年度からは東海地区および首都圏において実証実験が開始されます。医療機関や認定補聴器販売店、そして損保ジャパンのグループ会社であるSOMPOケアといった介護サービス提供者との連携を深め、補聴器医療相談会などのイベント開催も検討されています。

このプロジェクトは、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院 耳鼻咽喉科 柘植 勇人医師の監修のもと進められています。

各社・団体の役割は以下の通りです。

  • 補聴器フォーラム東海

    • 車両開発における監修、医療関係者や補聴器関係者への情報提供
  • MONET Technologies株式会社、損害保険ジャパン株式会社

    • 医療MaaS事業に関する知見の提供、車両架装、プロジェクトの推進、リスクマネジメント、実証フィールドの提供
  • 株式会社ATグループ

    • 車両の提供、地域ネットワークの構築支援

「ほちょうきカー」の展開は、音の聴こえに悩む多くの人々にとって、より豊かな生活への扉を開く、希望に満ちた一歩となるでしょう。

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